台風下の海の波・流れ場
 Waves & Currents Due to a Typhoon

強風下で生成される
密度成層水域の流れ場の
数値解析

 台風の強風で,湾内の海水の密度のバランスが崩れると,台風が過ぎ去って海上が晴れていても,そのバランスを正すために,海水が暫く動き続けることがわかりました.

 強風の吹き寄せ効果に着目して,密度分布を有する水域を対象とした数値解析を行ない,台風の来襲前から通過後にわたる期間の水位,流速及び密度の変化過程に関して調べました.

 密度が単一である場合,または,初期密度が2層に成層している場合の3次元計算を行ないました.

 その結果,矩形湾内に密度分布がある場合,湾幅に依存する内部波モードの現象が現れること,また,岬前面において,水位が湾奥よりも低くなり,低密度水が中層に潜り込むこと,そして,東京湾において強風による拘束が弱まり始めると,吹き寄せによって形成された密度分布に起因する海水流動が発生し,台風通過後もそれが暫く継続することが確かめられました.

台風通過時に生成される
内部波の数値解析

 一つの台風が一度通過しただけで,密度成層のある海洋に,幾つもの内部波が発生します.

 外洋遠方より進行して来る台風が,大陸棚を通過して沿岸域に接近する場合の,海水密度流の3次元数値解析を行ないました.

 表層内の水平渦流が鉛直循環流を伴い,その結果,界面の上昇が生じました. 台風の中心より後方に最高水位が,その後方に水平渦流の中心が位置し,界面は,更に後方で上昇しました. 界面の上昇位置は,大陸棚外縁に至るまで台風に追従し,内部界面の高まりは,大陸棚外縁から外洋までの広水域に及びました.

 また,内部波は,大陸棚外縁近傍で,初期上層水深が深いほど大きな最大波高を示した後,透過波・反射波成分と,大陸棚外縁に沿って進む成分とに分離しました. この最大波高に対する大陸棚上の内部波波高の比は,大陸棚上の下層水深が深いほど高くなります.